GENNAI(源内)

概要

広告のキャッチコピー制作を支援するシステムで、自然言語処理とコピーライターの知識を用いたAIシステムです。ICOT(新世代コンピュータ機構)の研究によって開発された「PSI-2」、言語はProlog言語を使用。

クライアント 株式会社電通(1989年)
AIジャンル 自然言語処理(広告文作成支援)

システム

1.主要概念(Main Concept)と、副概念(Sub Concept)より、連想語を選択する。
2.連想語を結合する。
3.Personal computerの回線利用によるユーザーインターフェース
4.単語のデータベース

システムの構成図

機能内容

Gennaiの機能を分類すると、主要概念と、副概念から、語を選択する部分(単語選択機)、選択された語を結合して句を生成する部分(句生成機)からなる。

以下、この2つの部分の規則を説明する。


1.単語選択機(word selector)

主要概念(メインコンセプト)から、連想される語の集合をAとする。
副概念(サブコンセプト)から、連想される語の集合をBとする。
Aは、主要概念の直接連想語、Bは副概念が属性値にある語の集合である。

1) 直接連想語
Wagnerの単語フォーマットにおいて、属性と属性値が等しいみだし語が連想される。

2) Wagner、単語フォーマット
みだし語(白樺)
属性 属性値
用途 観光地
みだし語(レジャー)
属性 属性値
用途 観光地
みだし語(夏)
属性 属性値
用途  
場所

説明: メインコンセプト”白樺”とすると、直接連想語、これの属性、属性値が、一致する”レジャー”であり、サブコンセプト”海”から連想される語は、これが属性値にある”夏”である。

A、Bとの共通集合を、Cとする(A∩B)

C=空集合→メインコンセプトの連想範囲を拡大
C=2→この2語より、句生成
C>2→はじめの2語を使って句生成

サブコンセプトは、1~3語(B1、B2、B3)使用可。この場合、集合Cは、
C=A∩B1∩B2∩B3となる。

 

2.句生成機(phrase generator)

単語選択機より生成された2語を結合して、句を生成する。

結合規則
1) 単純全解
2語の品詞より可能結合ルールを導く
名詞、形容詞、形容動詞、副詞、動詞のうち、2品詞の組合をつくり、その各々に結合規則がある。
たとえば、<名詞+名詞>では”夢”+”優等生”が、

夢は優等生
夢の優等生


のようになり、<名詞+名詞>は、24通りある。
すべての組合せは、72通り。


2) 意味分類
2語の意味分類より1)のルールを限定する。
単語の意味による分類は、12通りあるので、2品詞の組合せは、12×12=144通りある。
1)の単純全解で、作られた組合せのうち、意味分類の規則によって、消去されるものを除いた組合せが、求める句である。

評価

1987年9月までの本プロジェクトの経過は、以下の通りである。
機能内容のルール可は、80%完成し、語数は、500語で少ないが、Main Conceptと、Sub Conceptから、単語選択→句生成と動作する。

次に、例を示す。

essential_window/8

Main Concept=白樺 Sub Concept=海、山、

夏レジャー
夏のレジャー
夏とレジャー
夏でレジャー
夏こそレジャー
夏さえレジャー
夏からレジャーだ
レジャー夏
レジャーの夏
レジャーに夏
レジャーさえ夏
レジャーである夏

 

essential_window/10

Main Concept=リュックサック Sub Concept=冬、

ストーブ雪
ストーブの雪
ストーブと雪
ストーブで雪
ストーブは雪
ストーブも雪
ストーブこそ雪
ストーブさえ雪
ストーブから雪だ
ストーブ静電気
ストーブの静電気
ストーブと静電気
ストーブで静電気
ストーブは静電気
ストーブも静電気
ストーブこそ静電気
ストーブさえ静電気
ストーブから静電気だ
ストーブ夏
ストーブの夏
ストーブに夏
ストーブと夏
ストーブこそ夏
ストーブだから夏だ
雪ストーブ
雪のストーブ
雪でもストーブ
雪だストーブ
雪であるストーブ
雪静電気

上部へスクロール